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12月25日降誕祭説教 

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聖 書 ルカによる福音書2章1~21節
説 教 「恐れを除く喜び」

 「‥‥、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。天使は言った。『恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。‥‥』」(9、10節)

 降誕物語は、神の愛が始まる物語です。勿論、愛は世界が造られて以来、常にあり続けましたが、この時に改めてはっきりと示されることになりました。そして、恐れに満ちたこの世界が、愛によって喜びの世界に変えられます。「愛には恐れがない。完全な愛は恐れを締め出します。なぜなら、恐れは罰を伴い、恐れる者には愛が全うされていないからです。」(ヨハネの手紙一、4章18節)と言われる通りです。いまだに多くの恐怖体験が繰り返されて一向に止まない世界です。私たちはこの一年も、そういう現実を実感させられて来ました。従って今更のように「飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子」に、神の愛が恐怖を閉め出す「しるし」を読み取らねばなりません。生きることを願って、しかし死なねばならないこの矛盾に満ちた世界です。神はその生きることへの願いを確かにする為に、命の君を死ぬ為に世に遣わされました。罪人の死を代わって死ぬことによって、真に生きる永遠の命を私たちに与え給います。確かに此処では、喜びは恐れを締め出しています。命の光は死の闇を吹き消して輝きます。

 「恐れは罰を伴う」とも言われます。恐れが拭えないでいると、不信や疑惑が深まり、暴力が止めどなく溢れ出す逆の「しるし」も警告されています。遠く東から御子を訪ねてやってきた占星術の学者たちから知った喜びの知らせに「不安」を募らせ、彼らをだまして御子の抹殺を企てたヘロデ王は、逆に「占星術の学者たちにだまされたと知って、大いに怒った。そして、人を送り、学者たちに確かめておいた時期に基づいて、ベツレヘムとその周辺一帯にいた二歳以下の男の子を、一人残らず殺させた。」という残虐が猛威を奮います。マタイはこの事態を預言者エレミヤの預言の実現したことと受け止めます。「ラマで声が聞こえた。激しく嘆き悲しむ声だ。ラケルは子供たちのことで泣き、慰めてもらおうともしない、子供たちがもういないから。」と悲しみを歌います(マタイによる福音書2章3、8、16~18節)。正に「恐れは罰を伴」って、悲劇の連鎖を生みます。実に恐れに支配された世界には悲惨が繰りかえされています。しかも、こうした事態にも「なぜうなだれるのか、わたしの魂よ、なぜ呻くのか。神を待ち望め。」(詩編42篇6節)、と愛の訪れを予感して歌う詩人の思いに、神は「御子をお遣わしになり‥‥ここに愛があ」る(ヨハネの手紙一、4章10節)と断言し、滅び行く私たちの世界に再度救いの決定的な土台を据えて下さいました。

 この「飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子」の存在が私たちを救います。この御子が「その腕で力を振るい、‥‥権力ある者をその座から引き降ろし、‥‥飢えた人を良い物で満た」される(ルカによる福音書1章51~53節)のは、その御業による以前に、「まぶねの中に、産声をあげ」るその存在に寄ってです。宿屋さえもこの御子の生まれる場として与えずに、初めから拒絶した世界です。初めにヘロデ王によって抹殺が企てられた世は、その枡目を満たすかのように、十字架をもって御子を押しのけましたが、それによってベツレヘムの馬小屋に点じられた愛の喜びの火は、くすぶり消えるどころか世の人の罪を取り去るほどに燃え上がり続けたのでした。神がこの世に存在をお与えになった御子は、あらゆる逆境に耐えて存続を続けます。使徒パウロはこの愛は「すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。愛は決して滅びない。‥‥」(コリントの信徒への手紙一、13章7、8節)と言い現しました。産まれたばかりの御子は、弱さの極みにありながら権力者を圧倒し、悲しみの底に立ち上がれずにいる者を立ち上がらせる喜びを与えます。神がこの御子に存在を与えたからだ、と言えます。確かに「光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。」(ヨハネによる福音書1章5節)のです。従って私たちは、何処にあっても、どのように嘆き悲しむ状態にいても、御子が共に居てくださる処では、喜びが恐れを取り除きます。その喜びが真実であるのは、それが拡がり続けるからです。降誕節の喜びは、今や全世界に広がり続けます。その喜びに、御子の存在が忘れられないことを、強く願って喜び続けましょう。

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