« 2月26日説教 | トップページ | 3月12日説教 »

3月5日説教

Photo_2左下をクリックして説教をお聞きください。

聖 書 ヨハネによる福音書3章31~36節
説 教 「天から来られる方」

 「上から来られる方は、すべてのものの上におられる。地から出る者は地に属し、地に属する者として語る。天から来られる方は、すべてのものの上におられる。」(31節)

 「上から」、また「天から」と言われます。「上」すなわち「天から来られた方」を知ることが「地に属する者」の自覚を呼び覚まします。「初めに、神は天地を創造された。地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。」(創世記1章1、2節)。聖書はその初めから信仰告白の書物であります。「地」と「地」から隔絶した場所としての「天」を知ることは、「上から、天から来られた方」を受け入れることによって与えられる知識です。しかも、聖書は「天」を「地」から隔絶したものとして知ります。従って旧約の民は天から来る方がある時、そのことを「天を裂いて降って」(イザヤ書63章19節)来る程のことと言い表しました。それほど天は地から懸け離れた場所です。それは天に居られる神が、「地から出‥‥地の属する者」とは、全く違うお方である、という絶対的な知識に基づいています。「天から来られる方」によって天を知り、そのことの反映として「地」を知ることが起こります。「天」への知識が薄れると、人は「地」のこともあやふやになる、と言わねばなりません。今は「地」をめぐって「混沌」や「闇」や「深淵」が戻って来てしまっている現実が私たちを取り囲みます。この現実を再び創造の光の下に取り戻す為に、御子は世に降って御自分の肉を引き裂かれたことをしっかりと覚えたいと思います。

 それ程の犠牲愛が御子の「証し」には込められていました。「天から来られる方は、‥‥見たこと、聞いたことを証しされる」と言われます。何故なら、「地から出‥‥地に属する者」たち(創世記2章7節、同3章19節)である者は、「だれもその証しを受け入れない」からです。益々自己中心にしか考えない傾向を強める現代人の傲慢は、「上」や「天」を否定することによって、「すべてのものの上におられる」方を拒絶します。「十字架の言葉は、滅んでいく者にとっては愚かなものですが、わたしたち救われる者には神の力です。」(コリントの信徒への手紙一、1章18節)。この使徒パウロの言葉のように、いまだに、一層「十字架の言葉」が、「愚か」さを加えています。表面では繁栄を続けて止まない世界の進行に巻き込まれながらも、尚そこに「滅び」の徴候を見る者は、御子の「証しを受け入れ」、「神が真実であることを確認」します。確かに「天地は滅びるが、わたしの言葉は決して滅びない。」(マタイによる福音書24章35節)と言われた御子の御言葉は、「天から来られた方」の「証しを受け入れない」この世界に理解されないのは当然です。しかし、受け入れた者たちは「神が真実であること」を書き記した文書に、捺印をするようにして生きるのだ、とテキストは語ります。そういう厳然とした信仰の歩みを、今日の教会は続けているのです。

 この「言葉」を聴くためには、従ってどこまでも「謙遜」を深めなければなりません。受け入れない世界の傲慢に対比すれば当然でしょう。この「謙遜」によって「神の力」としての「十字架の言葉」を聞く時、「神が”霊”を限りなくお与えになる」ことが起きると言われます。主イエスの十字架の前で主を否んだ弟子たちは、自分たちの側のどのような頑張りも、主に従い通す力とはなり得なかったという弱さに戦(おのの)いた時、真実の「謙遜」を知ったのでした。そういう彼らに主が約束された聖霊が降ったのでした。「霊」は、従って罪の赦しを実現する「霊」であり、又御子に注がれる御父の「愛」であって、「永遠の命」を保証する力です。信じる者に「限りなく」霊を与えられる、と言われます。霊は与える霊ですから、この霊を受けた者を与える者に変え、献げる喜びに導き入れます。「与えなさい。そうすれば、あなたがたにも与えられる。押し入れ、揺すり入れ、あふれるほどに量りをよくして、ふところに入れてもらえる。」(ルカによる福音書6章38節)。それほどにふんだんに神は「”霊”を限りなくお与えになる」と言われています。上から降る御子は、「天を裂いて降ってくださ」ると同時に、御自分の肉を引き裂いて私たちを御自分の愛の交わりに加えて下さいます。神の”霊”に生きる者に注がれる命の豊かさです。

« 2月26日説教 | トップページ | 3月12日説教 »

フォト

カテゴリー

写真館

  • 201312hp_2
    多田牧師「今月の言葉」に掲載したアルバムです。(アルバム画面左上のブログ・アドレスをクリックしてブログに戻れます。)
無料ブログはココログ