12月24日クリスマス礼拝説教
「これがあなたがたへのしるし」
聖書 ルカによる福音書第2章1-14節
伝道師 三輪恵愛
①二人の「神の子」。奪う権力者と、与える救い主が同じ時代に
福音記者ルカは「詳しく調べたことを順序ただしく(1:3)」福音書を記すことを心に留めていました。イエス・キリストはいつお生まれになったのか。客観的証拠ともいえる当時の様子を合わせて知らせます。それは初代皇帝アウグストゥス(B.C.27~A.D.14)が治めていた時代。帝国をより強くするため、税収確保を目的に住民登録の勅令を下します。養父カエサルが神格化されたことにより、彼は「神の子(Divi Filius)」の称号を誇りました。かたや、大きな権力のもと懸命に生きる若い夫婦。宿屋からもおしやられ、たどり着いた家畜のための洞穴で子供を授かります。わたしたちの神の子イエス・キリストは、権力に追いやられても変わらない愛の営みのなかで、命を与えるために人となられました。
②神が救い主のお生まれをまっさきに知らせたかったのは、貧しき羊飼い
羊飼いたちは、野宿をしながら夜通し羊の番をしていました。住民登録のために慌ただしく自分の町へ旅立つ人たちからも、遠ざかっている彼ら。貧しさのなかにありながら、天使から救い主のお生まれの知らせを、まっさきに知らされることとなりました。主なる神は、この羊飼いにまず知らせたかったのです。貧しさゆえに、羊飼いゆえに、ダビデの町に待望の救い主がお生まれになったとの知らせを聞いた彼ら。世の権力者が住民登録を強いるなかで、彼らは、まっさきに神の国の住民登録をするための「しるし」を見る幸いに与りました。神様のまなざしは世の権力者ではなく、貧しくも、天からの知らせを受け止め、喜ぶ人に向けられています。
③世の権力の支配ではなく救い主の平和のもとへ、「しるし」は与えられた!
今の世もイエス様がお生まれになったころと本質的にはなにも変わっていないことを思い起こします。人が神のごとくふるまい、同じ人を支配しようとする世界。持てる人と持たざる人の分断は深まる一方です。このような世にあってわたしたちは再び霊的な貧しさを気づかされます。羊飼いにまなざしを向ける主なる神は、「しるし」である幼子イエス・キリストの姿を、いまやすべての人に与えてくださいました。世界をすべ治める方でありながら、まったく何ももたず、幼子の姿で来てくださった救い主。このお方はわたしたちから奪うのではなく、命を与える真の支配者。世の権力が人と人の間の分断をいっそう深くする今、わたしたちには平和の主が「しるし」として与えられたのです!「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ」。
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