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2月27日祈祷会:列王記上第8章14-36節

 多くの民を動員し、七年の歳月をかけ、神殿がついに完成しました。今日の箇所の直前にあたる第8章の前半では、礼拝の準備が整った神殿内部に契約の箱が運び込まれる様子が記されています。この契約の箱のなかには、十戒の石版が収められていました。25節には「あなたがわたしの前を歩んだように、あなたの子孫もその道を守り・・・」とあるように、十戒の石版はイスラエルの民が旅路を歩むために与えられた規範の中心でした。いわばイスラエルを導き続けていることの証である契約の箱が、神殿に安置されたのです。これをもって神殿での礼拝の準備が、ようやく整いました。

父ダビデが「契約の箱は、天幕に置かれたままではないか(サム下7:2)とナタンに打ち明けた時から神殿建設への歩みが始まり、引き継いだ息子ソロモンが務めを果たしました。そう考えれば、建設の実現に要した時間は七年以上ということにもなります。時も、人も、物も、計り知れないものが捧げられました。

1.ソロモンの謙虚な祈りに導かれて 

 契約の箱が運び込まれたあとに続く今日の個所では、さっそく神殿における最初の礼拝が捧げられていました。落成を祝って、神殿を神様に奉献する礼拝です。ここでソロモンは長い祈りを捧げますが、そのなかで聞き逃すことのできない言葉がありました。「神は果たして地上にお住まいになるでしょうか。天も、天の天もあなたをお納めすることができません。わたしが建てたこの神殿など、なおふさわしくありません。(27)多くのものを捧げて、ようやく落成した神殿なのです。よく準備された石を使い、金を壁に打ち込んで、大きなケルビムの像をもうけ、細やかな意匠をほどこした礼拝所です。それなのに「なおふさわしくありません」との祈りの言葉を紡ぎだします。

 素晴らしい神殿を前にして「ふさわしくない」と祈る王であるソロモンです。彼はただ指示を出す立場にあったので、建設にかけた苦労も知らずにこのように祈るのでしょうか。

建築が進められていくところでは、工事の次第を伝えるあらゆる記事のなかで、主語は必ず「ソロモンは(5章後半から6)となっていました。これは建設に携わる民を指導するにおいて、王として建築の全責任をすべて負ったことを示しています。決して建築を部下に任せて、ただ眺めていたわけではないのです。ソロモン自身が陣頭指揮をとって、神様に与えられた広い知識と深い知恵を注ぎ尽くして、工事は進められてきました。レバノン杉の切り出しに協力したヒラムとの交流も、ソロモン自らが対話し、理解を得たことでした。

建築の先頭に立って、並々ならぬ責任と努力をささげたソロモンであればこそ、「なおふさわしくありません」の言葉に誠実な、主なる神様への謙遜な思いがあふれています。ですから、このソロモンの長い祈りは、神殿を捧げようとしている主なる神様が、どのようなお方であるか、信仰をもって語っている言葉でもあります。大いなる神様のご臨在の前には、たとえ見た目に素晴らしい神殿といえども「なおふさわしくない」。この祈りは、礼拝の会衆を神の臨在の前に導く、ソロモンの信仰の告白となっています。

2.契約を必ず守られる主なる神のお姿

 ソロモンは、祈りのなかに信仰を告白するに先立ち、まずソロモンは会衆を祝福します。そして次に、神殿が無事に建設に至ったすべての始まりは、主の約束の実現であることを宣言していきます(14節~21)「主は約束なさったことを実現された。主が約束なさったとおり、わたしは父ダビデに代わって立ち、イスラエルの王座につき、イスラエルの神、主の御名のためにこの神殿を建てた(20)ダビデからソロモンへと、2代にわたって御心を示された主は、約束を実現されました。さらに、約束を必ず実現してくださる神様はイスラエル全体との約束も果たしてくださったお方であると説きます(21)。これはソロモンによる会衆への説教にあたるところです。契約を守られる主は、契約の民を礼拝に集め、御言葉の説き明かしをなさるお方であることが示されます。

 説き明かしを終えたソロモンは、ふたたび主の御前に立ち、祈りはじめていきます。モーセ、ダビデと続いてきた契約が、こうして神殿に契約の箱が安置されたことで、これからも続いていくことが祈願されます。「イスラエルの神、主よ。今後もあなたの僕ダビデに約束なさったことを守り続けてください(25)エジプトからの救出以来、神様は、契約を破ることなくイスラエルを守り導いてきました。聖なるお方は、正しいお方でもありますから、ご自分に課された契約について忠実であります。救いの御業は絶えることがありません。しかし民に対しても、契約に基づいて神との交わりを続けていくことが求められています。 「あなたがわたしの前を歩んだように、あなたの子孫もその道を守り、わたしの前を歩むなら、わたしはイスラエルの王座につく者を断たず、わたしの前から消し去ることはない(25)

「その道」つまり、先祖が主の契約の箱を重んじ、主の道を歩んで来たところに、これまでの守りがありました。子孫もその道を歩む続けるように、そして「約束の実現」が果たされていくようにと、祈りをささげています。

 

3.子孫の信仰のために執り成しの祈りを捧げる

ソロモンは、立ち返る子孫に、罪の赦しが与えられるように、繰り返し祈ります(2834)。主の道を歩む先祖たちも、ときにその道をそれることがありました。そのたびに救いを求める祈りの叫びを天に向かってあげてきました。聞き届けられた主が、憐れみ深く、立ち返りを喜び、救われてきました。「どうか、子孫たちもそのような信仰を持ち続けるように」とソロモンは将来に向かって執り成しの祈りをささげます。この祈りを聞く会衆も、契約が果たされるために、この神殿でささげられる祈りが聞かれるようにと願いを、ソロモンに同じくしたでありましょう。

ソロモンの祈りにあらわれる信仰の告白によれば、神様の臨在は神殿のなかに納められるようなものではありませんでした。天の天も納めることの出来ない主であればこそ、人生にまつわるすべてのことについて、祈りを聞き届けてくださるのです。「『わたしの名を留める』この所に向かって(29)ともあるように、すでにソロモンの信仰には、神殿とはあくまで主の名によって礼拝をささげ、主の名に向き直って祈りがささげられるための所に過ぎないとの認識が示されています。

 イエス・キリストの名を戴く、新しい契約の民とされたわたしたちにとり、教会はなによりも、信仰告白を土台として建てられています(マタイ16:18)。また「主の名によって集まるところに、わたしは共にいる」と言ってくださいました(マタイ18:20)。そして、新しい神殿とは、決して壊されることのない復活のキリストの体でもあります(ヨハネ2:20-22)。ソロモンの祈りに導かれつつ、主のご真実に希望と信頼をおき、執り成しの祈りをたゆまずささげ、「子孫がその道を守る」ようにと、祈りを捧げたいと思います。

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