オルガンと讃美
岐阜教会オルガン 1980年11月設置
製作・辻オルガン 25号
岐阜教会では新しい会堂を教会一同の祈りを込めて献堂したのが1978年。その準備の間に、礼拝堂の構想を練り研究と学びを進める中で、神に礼拝を捧げる場としてオルガンの設置も考慮すべきと教えられました。 折りしも、その頃オルガンビルダー辻宏氏が、県下白川の廃校になった小学校に、工房を定められた、との新聞記事がありました。 当時の岐阜教会も、礼拝堂を献げる手一杯の能力ながら、近い将来にオルガンを設置できる時の来るのを願って、響きのよい会堂としておくことにしたのでした。その為に会堂建築委員会も、何度か白川町に辻氏を訪ねて、アドヴァイスを受けました。神礼拝に欠くことが出来ない会衆讃美のためのオルガンという一点に、オルガン製作の理念を集中して、良質な歴史的なオルガンに学びながら、既にこの国にも品質の優れた多くのオルガンを、文字通り手作りで提供しつつある辻氏の姿勢は、私たち岐阜教会にとっても願ってもないオルガン建造家でした。 礼拝堂献堂後、思わぬ早さでオルガンを奉献できたのも、教会員一同がこのために祈り、皆で力を会わせた結果でありました。奉献後数年間は年2度ほどのオルガン・コンサートを、内外の著名なオルガニストを招いて、一般市民の方々にも公開して楽しんで頂きました。しかし、勿論オルガンの主な目的は、礼拝讃美を支え導く楽器ということにあります。以来、岐阜教会は、喜びと感謝を持って、力強く神に讃美の歌を捧げる教会という特徴を保ってきています。目下その為にオルガニストたちが、日々研鑽に勤しみつつ、奏楽奉仕に当たっています。
辻 宏 氏は2005年12月、天に召されました。国内外の教会、施設に多くのパイプオルガンを建造されました。また海外の歴史的なオルガンの修復も手掛けられました。
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カレル・パウケルト編曲/演奏 ”結婚組曲” LP「歴史的オルガンの響きを求めて」より 録音 1980年11月 岐阜教会
岐阜教会のオルガン建造に当たって
辻オルガン 辻 宏
宗教改革後二百余年を経たヨーロッパのプロテスタント教会、すなわちバロック時代のドイツやオランダの教会では、オルガン(パイプオルガン)が礼拝において重要な役割をになわされていた。それは数百人、数千人の讃美歌の声と会わせ、ハーモニーで支え、或いは人々の心の中の想いを人々に替わって高らかに歌い上げるためであった。ただそのことのために、北ヨーロッパのオルガンがあのように巨大なものにまで成長した。礼拝音楽にあれほど熱心なカトリック教会のオルガン、それも美しい完成した楽器であったが、それよりも力強く、しかも大形のオルガンをプロテスタント教会が必要としたのは、会衆の歌と共に奏されるという、その目的にかなうためであった。バッハやブクステフーデなどの音楽を我々は残されたトッカータやフーガによって知っているが、彼等をはじめ多くのオルガニストが奏した礼拝音楽を我々はほとんど知らない。それはオルガニストの最も重要なその仕事はいつも楽譜に書かれることなく、即興によって演奏されたので、残っていないからである。その任務から言えば余技とも言える演奏用の曲のみが書き残されたが、その音楽の素晴らしさから考えて、その本業である彼等の礼拝に於ける音楽がどれほど充実した、芸術的香りの高いものであったか、ほとんど想像することもできない。日曜ごとにオルガンと共に讃美歌を歌うことは、人々の信仰生活の力であり、楽しみでもあったであろう。ヨーロッパの村々の教会に残るバロックオルガンの質の高さ力強い響きに接すると、そのような楽器を作り使用した人々の礼拝の豊かさを思わずにいられない。このようなバロックオルガンが私の目標であります。
オルガンの仕様 | ||
辻オルガン 作品25 | ||
奉献 1980年11月 | ||
Disposition | ||
Manual I C-f''' 54 keys | ||
Praestant (from F) | 8' | |
Octave | 4' | |
Octave | 2' | |
Mixture II-III | ||
Gedackt | 8' | |
Floete | 4' | |
Trompete | 8' | |
Manual II C-f''' 54 keys | ||
Floete douce | 8' | |
Gedackt | 4' | |
Quinte | 3' | |
Waldfloete | 2' | |
Terz | 1 5/3' | |
Pedal C-f' 30 keys | ||
Subbass | 16' | |
Trompete (HW) | 8' | |
Manual Koppel | ||
Pedal Koppel | ||
Tremulant | ||
Built by TSUJI, Opus 25 in 1980 |